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木材は昔から多くの楽器に使用され、ピアノの材料としても大きな割合を占めています。木材を楽器に使う理由としては、
・軽くて強い
・音響的に優れている(良く響き、良く伸びる)
・加工が容易で接着性が良い
・外観や触感が人間の感性に合う
などがあげられます。

ピアノでは「スプルース」「カエデ」「ブナ」などの様々な木材が使われていますが、最も代表的な「スプルース」(マツ科トウヒ属 常緑針葉樹 産地:北米大陸)は、特に音響特性に優れ、音と密接に関係する響板や響棒に用いられています。その他の部品でも、果たすべき機能に応じて最も適した特質をもつ木材が使用され、適材適所を実現しています。
また、特に外観の美しさを特長とする木目調のピアノでは、ピアノの表面に薄い化粧材が貼られています。化粧材の代表的なものとしては「マホガニー」「ウォルナット」「チェリー」などがあり、それぞれの木目や色調を生かして、黒いピアノとは違った魅力を演出しています。

鍵盤は、弾く人の色々な希望・表現・要求をピアノに伝える窓口です。時には、語りかけ、時には怒りをぶつけるような演奏を、正確にピアノのバックに伝える機能が要求されます。
鍵盤材には、そうした目的に適う材料として、軽くて粘り強く、弾力性に富んだ木材が選ばれて、その中でも、鍵盤材には特に良質な部分を厳選した上、十分なシーズーニング(※)を経て使用されています。
製造行程は、
の順番となっていますが、木材という生きている素材を使い、高い精度で仕上げるためには、豊富な経験と優れた技術が必要とされます。
※シーズニング /
木材等経時変化しやすい材料を温湿度のコントロールされた環境条件のもとに保存することにより、寸法安定化を図ることをいいます。

ピアノは、「木の芸術品」といわれていますが特殊な部分には金属が使われます。 従来から、音響的に優れている、加工が容易との理由で、ピアノには厳選された多種の木材が高度な加工技術を駆使し、使われてきました。
しかし、強度・磨耗性能・精度・均一性など、木材にはない特性が求められる要所には、金属部品が使用されています。 フレーム・弦・チューニングピン・ペダル・レール関係等、いずれもカワイの設計により、 素材の開発から加工まで、独自の形態と仕様を備えています。

ピンと張られたミュージックワイヤー(弦)をハンマーでたたくと、それにより生じた弦の振動が、ピアノの音源となります。 細く短いミュージックワイヤーは小刻みに(高い周波数)振動するので高音用に、太く長いミュージックワイヤーは緩やかに振動するので低音用として使われます。
弦の長さだけで単純に計算すると、ピアノは7〜8メートルの長さになってしまいます。 適度のピアノの寸法で低音を出すためには、ミュージックワイヤーだけでなく、巻線にして重量を増し、低い周波数を出しやすくする方法がとられています。
巻線とは、純度の高い高炭素鋼のミュージックワイヤーに、0.2〜1.9ミリほどの太さの純度の高い銅線を、一〜二重に巻き付けたものです。 巻線を加工するには、巻く角度や速度、巻くときの銅線の引っ張り方などで音色が決まるので、高品質な巻線を加工するためには、高度な技術が必要とされます。 カワイピアノには、長年にわたって蓄積された知識と、最新の科学技術を駆使した方法により加工した巻線が使用されています。

ピアノで使われる繊維材料は、フェルトがほとんどです。フェルトは昔から、羊毛繊維を自然に絡み合わせただけのものと、タオル状に織ってから、絡み合わせたもの(織フェルト)の二種類があります。
又、最近では、化学繊維の発達により登場した、弾力性に富むアクリル繊維を用いたもの(ニードルフェルト)も使用されます。 繊維材料を使用した部品では、ハンマーが最も重要な位置を占めています。
ピアノは強い張力で張られている金属の弦を、ハンマーで叩き、それによって生ずる弦の振動を音源としています。したがって、ハンマーの材質によって音は様々に変化します。(例えば、金属のハンマーで叩いた場合は、金属的な硬い音が出ます) ハンマーの材質は音色・音のバランスを左右するので、ハンマーの主材料である繊維材料の製造・加工には、高度な技術が要求されます。
発明当初のピアノのハンマーは、木材に鹿の皮を巻いたものでした。金属のハンマーよりはよいですが、これでは音楽に適さない硬質な音でしたので、次第に改良され現在のフェルトに到達しました。 弱い打鍵では表面の柔らかい部分でソフトな音を、強い打鍵では中の硬い部分が応えて迫力のある音を。こうしたピアニストの期待に応えるためには、ハンマーは内側が硬く外側が柔らかい、いわゆる「内剛外柔」が理想とされます。

かつてのピアノは、精密なアクション部品も、軽く加工が容易なことから木材で作られていました。しかし、木材は素材を厳選し高度な技術で加工しないと、湿度による寸法・重量などの変化が大きく、また、耐摩耗性も十分ではありませんでした。
戦後、石油化学の発達によって続々と開発されたプラスチックが、木材の欠点を埋める素材として、ピアノに迎えられることになりました。 ピアノに使用するプラスチックは、「エンジニアリングプラスチック」と呼ばれるポリアセタール樹脂、ABS樹脂など、軽量で強靭な素材が中心となっており、ガラス繊維、カーボン等の強化剤入りプラスチックも使用されています。 このような工業材料用高級プラスチックの活用で、ピアノは一段と精度が高まり性能も安定するところとなりました。
更にカワイでは、オリジナル開発のプラスチックで製作した人工象牙(ファインアイボリー)人工黒檀(ファインエボニー)を鍵盤として使用しており、この新素材による鍵盤は象牙、黒檀に匹敵する感触と機能を備えています。また最近ではこれらに加えて抗菌処理を施した鍵盤等、プラスチックの長所を最大限に生かした部品開発を行っております。

ピアノは「木の芸術品」と呼ばれていますが、その評価は、内部の精度の高い加工・組立と、塗装を施された美しい外観との一体によりもたらされたものたです。 ピアノの塗装には、外観を美しくすることと、長年にわたる使用に耐えるよう、木材を保護することの両面から、高度な技術と入念な作業が結実しています。
主流を占めている黒塗ピアノの塗装は、かつては日本の伝統のうるし塗装を施していましたが、現在では、ポリエステル塗料を使い、下地の調整から始まり、数工程を経て仕上げられます。 木目ピアノは、生地の材質を生かし、一般的な艶出し塗装、艶消し塗装、木目の凹凸を表面に出したオープン塗装等、で仕上げられます。